滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
夜空の下に輝く並木通りのイルミネーション。
仲睦まじく寄り添って街中を歩く恋人達。
ヘルメットから微かに聞こえてくるのはクリスマスミュージックと賑やかな雑踏。
そんな雰囲気も通り過ぎたバイクは暫く走った後、一棟の高層マンションに着いた。
我が家とは月とスッポンほどかけ離れた空間に戸惑いながらも、
そのまま蒼に促されるように後をついていく。
「…」
「…」
互いに無言のまま乗ってそのまま上昇するエレベーター。
チラリと蒼の横顔を見ても無表情で口すら開けない。
ーー怒ってる?
いや、それはこっちのセリフでしょ!
何も話さないでバイク走らせて、
その挙句見知らぬマンションへ連れてくるなんて!
しかし腹の中でグッと感情を抑え込んだ。
きっと口を開いたら様々なことをきつく追求してしまいそうで、自分自身コントロール出来ないと感じたから。
今はとりあえず蒼の言動に身を任すしか他なさそうだった。