滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「今、この時間が何か夢見てるみたいだ。」
「え?」
「東京に帰ったら現実に戻されて、今こうしていた事が夢だったんじゃないかと思い知らされるんだ」
私は思わず目を見開いてびっくりしてしまった。
自分と全く同じことを思っていたなんて想像もつかなかったから…。
「そうだね。夢から覚めちゃうんだね」
二人で見たこの光景は夢のままで終わるんだ。
儚い夢物語として。
「寒くなってきたな、そろそろ寝るよ」
蒼は優しく私に笑いかけたまま立ち上がって、
そのままリビングへと戻る。
「私も寝ようかな」
空いていた窓をゆっくり閉めて鍵を閉める。
月明かりで照らされていた縁側のカーテン閉めきって、私も再び和室へ戻った。
その日の夜、私は要約自分の気持ちに確信が持てた。
もう遅いのかもしれないけど、
これだけはハッキリと言える。
私は蒼の事が好きなんだ。