滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「んんっ…」
蒼の自宅に入るや否や、
玄関先で蒼がキスを求めてきた。
扉に両手首を押し付けられて、口中を縦横無尽に犯す蒼の舌。
電気すらつけず靴も脱がずに、
ただ貪り合うだけの口づけは寒さで冷え切った体をゆっくりと温めていく。
「…寒い?風呂入る?」
「大丈夫」
蒼の冷たい両手が私の頬をそっと包み込む。
「蒼君こそ冷たいじゃない」
私の冷たい両手が蒼の頬をそっと包み込む。
暗闇の中でも感じる互いの吐息と体温。
ずっと欲しかったものがここにある。
それがどんなに幸せなことか、
私は身に染みて感じていた。
「ベッド行こうか」
その言葉に私は恥ずかしながらも小さく頷く。
私を見つめながらフッと目を細めると、
蒼はいきなりお姫様抱っこで私を持ち上げ寝室へ向かった。
私は思わずギュッと蒼の首に腕を回してしがみついた。
ーー蒼とするのは初めてじゃないのに、
すごいドキドキしてきた…。
まるで処女を捧げるような初々しい気持ちだ。