滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「いや…」
私は指から顔を背ける。
「いーから」
「やだよ」
「奈緒子さんが舐めてるところ見たいの。ほら、早く」
「…」
ジッと私を見つめてきて微笑む蒼に負けた私は、
仕方なく舌を出して指先の先端をほんの少しだけ舐めた。
「もっと。俺がさっきしたみたいに舐めてよ」
そう指示されて一瞬戸惑ったが、
既に頭の中も心の中も蒼に囚われていた私は嫌々ながらも指を丁寧に舐め上げた。
こんなこと本当は恥ずかしくて出来ないのに、
蒼に見つめられ催促されると思考回路が洗脳されたように動いてしまう。
それはきっと蒼に対する愛情がそうさせているのかもしれない。
「可愛いよ、奈緒子さん」
満足そうに笑ってくれる蒼の笑顔が素直に嬉しかった。
それと同時に胸の高鳴りがどんどん大きくなっていく。
「ね…?」
「ん?」
「もうどこにも行かないでよ」
ちゅと音をたてながら瞼にキスをする蒼の背中に腕を回して抱きつく。
「蒼君がいないと、私ダメなんだよ」
今日も、明後日も、明々後日も。
ずっとずーっと。