滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「そこで出会った彼に仕事以外に東京のノウハウを教えてもらってさ。初めて経験することばかりだったから、もう戸惑っちゃって…」
まだまだ青二才だった頃の私を思い出すだけで笑ってしまう。
田舎者っていうレッテルを捨てたくて、
慣れない東京で懸命に暮らしながら、仕事に追われる日々を送っていた。
でも都会の色に染まりそうになると、必ずカレが良し悪しを教えてくれる。
そして私が進むべき道を教えてくれた。
「彼氏としても仕事上の先輩としても、一人の人間としてもカレを尊敬してたんだ。だから置いていかれないようにいつも必死だった…」
いつもいつも頼って甘えて、
結局カレの意見がないと前すら進めなくて。
「もしかして、そういうのが嫌になったのかな」