滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
仕事でも幾たび失敗して、その尻拭いをしてくれたのもカレだった。
気にするなっていつも優しく声かけてくれたけど、
内心はもう嫌気がさしていたのかもしれない。
「奈緒子さんだっていつも仕事もプライベートも頑張っていたんでしょ?全てが全て奈緒子さんが悪いわけじゃない」
彼は私の話を真面目に聞いてくれて、
さりげなくフォローしてくれた。
それは昼間に感じた少しおちゃらけたような雰囲気ではなく、
私の目を見ながら、感じたことを言ってくれているのだと思えた。
「…少なからず奈緒子さんは彼が好きだった。その挙句、彼は浮気して別れを切り出した。誰がどう聞いても彼氏が悪いよ」