滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
ーードキッ!
真剣な眼差しで私を見る視線に思わず心臓が大きく飛び跳ねた。
「…浮気なんてあり得ないでしょ。そこから間違ってる…!」
ムッとしたまま口をへの字に曲げた姿は、
どこか幼い子供が拗ねたような初々しい可愛らしさがあった。
「 別に貴方が怒らなくても」
「嫌なんだよ、そういうの!彼女がいるんだから浮気する必要ないじゃない!」
「まぁね。でもなかなかうまくいかないのが恋愛なの」
「……」
ムキになる彼が可愛くて思わず私はクスクス笑ってしまった。
それを見た彼はこっぱ恥ずかしそうに照れながら、メインディッシュの料理を頬張った。
「でも…貴方は何でこのホテルにいたの?」