滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
ただ認めたくない思いを彼は意図も簡単に見抜き、まざまざと現実を突きつける。
わざと気持ちに背を向けることで、
これ以上自分を惨めになりたくなかった。
だから無理してでも自分自身に嘘をついて暗示をかけて、
これ以上傷を深くさせたくなかったのだ。
「…結局誰かに頼ったら、最終的には自分の力で歩けなくなりそう。誰かの支えがないと前にすら進めなくなりそうなの。だから色んな意味で割り切らないとダメなのよ」
頭を抱えて 深いため息をつく。
恋一つ終わったぐらいでこの世の終わりみたいな落ち込み方が、自分自身嫌になってきた。
こんなに弱い人間だったんだな、私。
「俺で…、俺でいいなら頼ってよ」