滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
え?
嘘でしょ?
だってあり得ないじゃない。
彼はアメリカにいるはずじゃーーーー。
私の姿を見つけた彼。
そして席からおもむろに離れると、
そのまま真っ直ぐ私の席へ。
「あっ、え…?」
頭が真っ白で言葉がうまく見つからない私を、
彼は目を細め優しく見下ろす。
スリムに決めたスーツを着こなし、
無造作ヘアーだった髪は綺麗に整えられている。
数ヶ月前に出会ったあの時の彼とは見違えるほど大人びている姿に、
私の心臓はこれ以上にないほど激しく鼓動していた。
「…お久しぶりです」
いきなり敬語で話しかけられ、
はっ、はい!と赤面したまま咄嗟に椅子から立ち上がった。