滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

「じゃ、夏目さんも座って下さい」





基本会社は私服出勤なのだが、
彼は今日もスーツ。



私服姿を知っている私だけに何だが不思議な気分だ。




はい…と彼に促され、空いてる席に座ると、
彼はテーブルの上に用意していた紙を部下達に自ら配った。





「今、藤堂さんが進めているクリスマス戦略に向けての企画書を見させてもらいました。しかし自分なりに疑問点が多く、来週に控えた社長へのプレゼンに不備を感じたので数点手を加えさせてもらいました」




彼は私たちに向かって真っ直ぐな目線で呼びかける。


しかし資料を見た俊介が顔色を変えて、
すぐに反論した。



「部長、お言葉を返すようですが、俺は商品のコンセプトを一番に考えて開発してます。しかし部長が修正したアイディアはあまりにも商品のイメージとかけ離れてるじゃないですか」

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