滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

その話を聞いた他の同僚達も相槌を打っている。




皆で楽しく長きに渡って作り上げたものを、

昨日今日来た上司に有無を言わさぬうちに勝手に変えられるなど、作り手として耐え難いに違いないのだろう。




私は何の話やらで周りの話についていけないが、
俊介の口ぶりを見る限りでは、相当大幅な修正が入ったようだ。



「過去と同じような情報やマーケティングで商品を作っても意味がありません。それに藤堂さんのコンセプトはあくまでも収益化商品だ。売り上げよりも大切なことは顧客を獲得し増やす事を目的とした商品を作ることです」

「ーーっ!」




彼の言い分に思わず俊介が悔しげに言葉を呑んだ。


それ以上に他のチームメイトまでもが圧巻するぐらい、彼の気迫と力強さは目を見張るものがあったのだ。




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