滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

「とりあえずその資料を見ながら新しいアイディアを個々にまとめてきてもらいたい。具体的な課題は全てプリントに書いてあるから」



何気無く資料に目を落とすと、誰か何を担当するか詳しく書いてある。


しかし、よくよく見ると自分の名前が載ってないではないか。



「あ、あの…」



か細い小さな声に、
周りの視線が私に一斉に向けられる。




「あの…、私は一体何をすれば…」





そもそも、私が呼ばれた理由さえ知らされずに、
チームの話を聞く時点でおかしすぎる。



雑用なら納得できるけど、
わざわざ私に資料を渡すなんて…。




「夏目さんには俺のアシスタントをしてもらいたいんです。いろいろ手伝ってもらいたくて」

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