赤い流れ星
安心してしまったのか、私の瞳からまたぼろぼろと涙がこぼれた。



(シュウ…来てくれたんだ…!)



涙を拭って息を吸いこみ、大きな声で私は彼の名を叫んだ。



「シュウーーーー!」



「ひかりーーーー!」



返事は驚く程すぐに戻って来た。
あたりを見渡すと、私が進みかけていたのとは反対の方角からシュウが走って来る。



(あ……)

走って来るシュウは、大きく手を振っていて……
その姿を見たら、私は思わず走り出していた。
子供みたいにわんわん泣きながら……



さっきまで足が痛くて、力も入らなくて、歩くことさえままならなかったはずなのに、シュウの姿を見た途端、まるで錆びが落ちたように私の身体はスムーズに動き出した。

だんだん大きくなって来るシュウの姿が涙で歪む。
助かった…
シュウはやっぱり私を助けに来てくれた。
これでもう安心……



走るのと泣いてるのとで息が苦しくてそう早くは走れないけど、シュウの姿はどんどん大きくなって来る。



違う方向からお互いを目指して走り続けた私達は、ついに、畑のあぜ道の真ん中で出会うことが出来た。




「ひかり…!」

「シュ…シュウーーーー!」



私は、速度も緩めず、まっすぐにシュウの胸に飛びこんだ。
その身体は熱く、心臓の鼓動がどきどきとすごい勢いで動いているのが感じられた。
その感触は確かな現実。
シュウはここにいて、私もここにいて、私は助かって……
止めようと思うのに涙が止まらない。
苦しくて、息が出来なくて…何がなんだかよくわからない状態で……



「もう大丈夫だからな。
よく頑張ったな……」



何度もシュウはそんなことを言い…その言葉は魔法の呪文のように、私の気持ちを落ち着かせてくれた。
苦しかった呼吸も少しずつおさまってきて…
ふと気付くと、私はシュウに抱き締められるようにして、背中をさすられていることに気がついた。



「わ…わぁっ…!!」



我に返った私は、恥ずかしさのあまり、おかしな叫び声と共にシュウの胸を突き飛ばしていた。
< 50 / 171 >

この作品をシェア

pagetop