赤い流れ星
馬鹿みたいに笑いながらそんなことを考えていると、私はふと気がついた。
そうだ…家にはペットボトルって言ったらこれしかないんだ。
シュウは、とにかく大急ぎで駆け付けてくれたんだろう。
その時、咄嗟に、何か飲み物をって思いついて……それでこれを持って来てくれたんだ…
それに、もしかしたら、私がめそめそしてるから笑わせようとしてこんなことを…?




「シュウ…ありがとう…
迎えに来てくれて…本当にありがとう。」

シュウの気持ちが嬉しくて、また泣きそうになるのを必死で堪え、私はなんとかそれだけ伝えた。



「……無事で良かった。」

シュウの澄んだ瞳が真っ直ぐに私をみつめてる…嬉しさと申し訳なさで私は息が詰まりそうになった。



「シュウ…私……」
「って、遭難か!!」

青春ドラマの主人公さながらに発した私の小さな声は、同時に発せられたシュウのツッコミでかき消された。




「……え?」

「ひかり~……
頼むから、遭難するならもっと遠くでしてくれよ。
それと、俺が違う服を着てる時にしてくれ!」

「え…?」

まだ混乱している私に向かって、シュウは言葉を続けた。



「あのな、ここをまっすぐ行くだろ?
そしたら、いつものバス道に出る。」

「えっ!?そ…そうなの?」

「……あんな死にそうな声は、もっと大変な状況で出してくれよな。」

「……う、うん。ご…ごめん…」

残念過ぎる…
やっぱり私は全然見当違いの方向に行ってるわけではなかったんだ。
あとちょっとでいつものバス道だったなんて…
かっこ悪過ぎる…
そういえば、私、こっちに来てからあのバス道以外通ったことなかった。
だから、そんな近くに来てても気が付かなかったんだ…

私は情けなさに打ちのめされ、その場に穴を掘って隠れたい気分だった。



「ま、とりあえず、飲めって…」

シュウは、顎先でコーラを指し示した。



「う、うん。」

噴き出して半分近くになったコーラは生ぬるく、甘かった。



……そうだよね。
走って来たとしても、ここまではそれなりの時間がかかる。
その道のりを、シュウは重いコーラを持って走り続けてくれたんだよね……
恥ずかしい…申し訳ない…シュウに迷惑かけたことで心がとても痛かった。
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