赤い流れ星
久し振りのファミレスはそれなりに楽しかった。
あっちには、そういう場所がほとんどないから。
町のショッピングセンターにレストランはあるけど、やっぱりメニューだったり雰囲気だったりがずいぶん違う。
店の広さや入ってる客の数も違うから、当然活気も違ってて……
人の多い所は本当は苦手なんだけど、久し振りだとそうでもない。
逆に刺激があって、こっちまで元気になるような気がしてくる。



(……ここにシュウがいてくれたら、きっともっと楽しかったんだろうな。)



ふと、そんなことを考えると、また急に寂しくなって来た。

家に戻ると、私は、早速、シュウに電話をかけた。
だけど、その返事は相変わらず素っ気無いもので……
寂しがってる様子は全くなかった。



(あ~あ……)



寂しくて電話したのに、かけたらますます寂しくなった。
いつの間にか、私達の立場は完全に逆転してる。
シュウが私のことを大好きだったはずなのに、今では私の方がずっと好きになってる……
いや、多分、初めて会った時からそうだったのかもしれない。
だって、シュウは私の理想を100%詰め込んだオリキャラなんだもの。
好きにならない筈がない。
現実には、あんなかっこいい人が私みたいな冴えない女を好きになるなんて、奇蹟でもなけりゃありえないことで……だから、小説でその夢を実現してたらそれが本当になってしまって……
言ってみれば私のやり方はフェアじゃない。
だけど、フェアなやり方ではまずこんなことは絶対に無理で……
いやいや、オリキャラが現実の世界にやって来たってことが悪いわけで……



いろんなことを考えているうちに、私の頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。
多分、いくら考えたってどうしようもないこと。
恋は、論理じゃなくて感情だから。



恋…?
そっか…私は、今、恋してるんだ…



そんなことに気付いた途端、私は急に気恥ずかしくなってしまった。
もうじき19にもなろうとしているのに…でも、もしかして、これって初恋?
お、遅すぎやしませんか~~!?

一人でわたわたしている時に、私の脳裏に浮かんだ言葉があった。



『初恋は結ばれない』



急に不安になった私は、必死になって昔のことを思い出す。
今まで、本当に好きな子いなかったか?
幼稚園の頃…小学校…中学…そして、高校…
記憶の糸を手繰り寄せ…




(あ…いた!)

思い出した!
私の初恋の相手は兄さんだ…!

そうそう、私は小学生の頃、兄さんが大好きで……
あれが初恋なんだ。
だから、シュウは初恋じゃない!

無理矢理自分にそう言い聞かせ、私はほっと胸を撫で下ろした。
< 63 / 171 >

この作品をシェア

pagetop