赤い流れ星




次の日は、予定通り、私は両親と一緒に服を買いに出掛けた。
電車で三駅ほど行くと、そこはもう大都会。
地元でも良いかと思ったのだけど、久し振りだからやっぱり出掛けることにした。
不況だとは言われていても、休日のせいか思ったよりも人は多かった。
元々人の多い所は苦手だけど、最近は極めて人の少ない所で生活してたから、私は人酔いしそうになった。
実は服以外にも、カーテンやらちょっとした小物やら綺麗になって来た家に置きたいものはたくさんあって、この機会に出来るだけねだって買ってもらおうと私は目論んでいた。
都会は、お金さえ出せば手に入らない物はない。
同じものにも種類がたくさんありすぎて、一つ決めるのに時間がかかってしまう。
服は特に決まらなくて、それになんだか恥ずかしかったから、最後に買うことに決めた。
あちこちの店をのぞいているうちに、私の足はふとメンズのお店で停まってしまった。



(あぁ~!あれ、シュウが好きそう~!)



ロックっぽい雰囲気のお店にかけられていたワイルドな柄のTシャツ。
シュウが最初着ていたものによく似た感じの柄だから、きっとシュウは好きだろうと思った。
それに細身のテカテカしたパンツや、鎖のついた革のパンツ…
どれもシュウに似合いそう…!



「……美幸、どうかしたの?」

母さんが、私の視線の先を見て、不思議そうな顔をしていた。
確かに、私はロックなんてものに興味はなかったし、どう間違ってもこういうのが似合うタイプじゃない。
不思議に思うのも当然だ。



「な、なんだか、すごいなと思って…」

「和彦が好きそうだな…」

「えっ!?兄さんが?」

そうだったっけ?
兄さんがどんな服装が好きだったかなんてこと、全く記憶にない。
たまにしか会わないとはいえ、私はそんなにも無関心だったのかと愕然とした。



「そうそう、和君ね、もうじきこっちに戻って来るのよ。」

「えっ!?こっちって…実家に?」

「そうじゃなくて日本によ。
どこに住むかはまだ聞いてないけど、あの子のことだから、多分、うちには戻って来ないでしょうけど……
そうだ、せっかくだから和君に会ってから帰れば?」

「え……」

私は今日帰るつもりなのに、それは無理でしょう…
だけど、どうやって断ろう…?
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