赤い流れ星
「……えっと……それで、兄さんはいつ帰って来るの?」

「もうじきって言ってたけど…」

「もうっ!兄さんの『もうじき』じゃいつのことかわからないよ!
もしかしたら来月かもしれないし、下手したら来年かもしれないよ。
しっかり決まってたら、兄さんもちゃんと日にちを言うだろうし、きっとまだ決まってないんだよ。
あ…本屋さんだ!
私、ちょっと見て来る!」

私は、話をはぐらかせるために二人を置いて本屋に走った。
ま、今のでなんとかなると思う。
後は、今日帰るってことをいつ切り出すか……



(……ん?)



そんなことを考えながら本屋の中を歩いてた私は、そこで大変なものをみつけてしまった。
それは、私の大好きな声優さんのサイン&握手会の告知で…しかも、今日!
私がこの前からほしいと思ってた某アニメのイラスト集を買うと、その場でサインと握手をしてもらえるとのこと。
これはチャンスだ!
イラスト集はけっこう高いから我慢してたんだけど、今日ならどさくさに紛れて買ってもらえるはず。
しかも、あの声優さんに会えて、サインも描いてもらえるなんて、こんなチャンスはめったにない!
でも……問題が一つあった。
サイン会場は6時からだから、参加したら帰れなくなってしまうということ。



(どうしよう…!?)



私はトイレに行く振りをして二人から離れ、シュウに電話をかけた。
詳しい理由は言わずに、今夜も泊まって来て良いかと尋ねた。
返事は予想通りで……
少しも考えることなく、シュウは「ゆっくりしておいで」と言った。
ちょっとくらい寂しがってくれたらどうなのよ!
寂しいのを通り越して、私はなんだか腹が立って来て……



(シュウは私のことなんて、どうでも良いんだ…!)



それならそれで良い!
私は、やけくそでサイン会に参加することを決めた。
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