赤い流れ星




「あ、ぴったりだ!」

家に着いてたのは、最初の日に送り出した兄さんの衣類だけだった。
後のはまだ届いてない。
ま、明日かあさってには来るだろう。
届いた荷物を開き、シュウに着せてみると、それはまるであつらえたようにシュウのサイズにぴったりだった。



「これで、寒くなっても大丈夫だね!
好みじゃないかもしれないけど、シンプルなのばかりだからけっこう着やすいでしょ?」

「それは良いけど……良いのか?
勝手にこんなことして…」

「良いんだよ。
兄さんは実家には帰って来ないし、これはずっと前のだから兄さんはもう着ないから。
……実はね、今回、実家に帰ったのはこのためだったの。
兄さんのだったらきっとシュウに合うと思ったし、この他にもいろんなもの買ってもらったり、家にあった使えそうなものをあれこれ送ったんだ。」

シュウは、黙って着ていたコートを脱いで、はしゃぐ私とは裏腹に小さな溜め息を吐いた。



「……どうしたの?
やっぱりお古はいやだった?」

「そうじゃないよ…
ただ……俺のせいでひかりに迷惑かけてばっかりだなって思ってさ。」

「迷惑なんてそんなことないよ!
私には出来る事が少ないからこんなことしか出来ないけど…でも……」

シュウは何かを考えるように黙って庭の方を見つめてた。
その横顔は、声をかけるのもはばかられる程、寂しそうっていうのか悲しそうっていうのか……
とても切ない表情に見えた。



シュウは以前にも、履歴書には適当な嘘を書いて提出し、バイトをしたいと言い出したことがあったけど、それは私が必死になって止めた。
だって、もしも、そんなことから、シュウに戸籍がないことがわかれば、それは大事になってしまうから。
シュウもそのことは理解してくれたようだけど、やっぱり働けないってことをすごく引け目に感じているらしく、私もそのことはなるべく感じさせないように気を遣ってたつもりなんだけど、私の今回の行動がシュウを苦しめてしまったようで……



「……シュウ…ごめんね。
余計なことして…」

「そんなことないよ。
すごく助かる。」

シュウは、私の方は少しも見ずにぽつりとそう言った。
< 70 / 171 >

この作品をシェア

pagetop