赤い流れ星




「ええーーーーっ!
ここにアニメさんが~~!!」

「良かったじゃん。」



いつものようにシュウと二人で町に買い物に行ったある日のこと……
以前から改装中だった場所に、アニメさんが出来ることを私は知って驚愕した。
アニメさんは、その店名からもわかる通り、アニメ関係の本やフィギュアやグッズが売ってるお店で、普通の本屋さんには売ってないようなマニアックな本も置いてある。
シュウにあげたあのジャージも実は実家の近くのアニメさんで買ったものだった。

でも、アニメさんがこんな所に出来たら毎日だって来たくなるし、ほしいものが増えてしまう!
あぁぁぁ…なんて罪作りなアニメさん…



(………ん?)



そこでふと目にしたものが、その日一日中、私の心の中から離れなかった。








「じゃあ、行って来るね!」

「あぁ、気を付けてな!」

あれから一週間後、私はまた町に出掛けた。
最近はいつもシュウと一緒だったのに、今日は一人で行きたいって言ったから、シュウはもしかしたらあやしんでるかもしれない。
ま、どうせ、そのうちバレるとは思うけど、それでも、今日はまだシュウには秘密にしておきたかった。



私が向かったのはアニメさん。
とはいっても、店はまだ改装中でオープンしていない。
店に近付く程に、私の鼓動は速まり、足が動かなくなって来る。
それどころか、気分まで悪くなって来た。



(やっぱり帰ろうかな…どうせ、無理だろうし……)

そう考えて戻りかけ……



(だめだってば!もう電話もかけたんだし!)

もう一人の私がそれを引きとめる。
馬鹿な一人芝居のようなことを繰り返しているうちに、ついに約束の時間がやって来た。
私は、まさに高い搭の上からバンジージャンプをするくらいの決意で、アニメさんの店の裏口に進んだ。








(……足が……)

私はまだ震えが止まらない足をどうにかひきずり、外のベンチに腰掛けた。
あれからどのくらいの時間が過ぎたのかもわからない。
何をしゃべったか…は、一部だけ覚えてる。
とりあえず、好きな満画とゲームのことはぺらぺらとしゃべった気がする…
っていうか、喋り過ぎた。
失敗したな…

でも、やり遂げた。
おそらく採用はされないだろうけど、生まれて初めてバイトの面接を受けることが出来た。
ほっとしたら、なんだか泣きたいような気持ちになって来たけど、それをまたぐっと我慢する。
携帯を出して、シュウの画像を見ながら、私は心の中でシュウに報告した。



(シュウ……私、今、アニメさんのバイトの面接に行って来たよ!
緊張し過ぎて何を聞かれたかも覚えてないけど、とにかく…行けた!
決心するまでに一週間もかかったけど…何度もやめようと思ったけど…
でも…来れた~!)


< 72 / 171 >

この作品をシェア

pagetop