君さえいれば
バイトを終えてからも夏休みは割と遠野と過ごしていた。遠野が理系、あたしが文系を担当して夏休みの宿題を終わらせた。




そうそう、初めてヤキモチを妬いたのは体育会の日だったな。遠野がリレーのアンカーで2人抜きをしたとき。




「遠野くん、さっきのかっこよかったよ!」




違うクラスの女の子が数人遠野に話しかけてきて、遠野も満更じゃなさそうだったんだ。


それが面白くなくて、なんだか見ていたくなくてそっとその場を去ろうとした。




「おい、どこ行くんだよ?」



ほっぺたを膨らませて遠野を睨みながら去ってやろうとしたのに腕を掴まれた。
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