アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】

いつからだろう…

掛け違えたボタンのように
動きがズレて思うように動かない歯車のように

私と省吾の心がすれ違って…

何もかもが、音を立てて崩れて行った…





省吾の実家は、代々医者の家系で、隣町で小さいながらも
病院を営んでいる。
いずれは、その病院を継ぐつもりだと、私にも言っていた。

だけど…

ある日、省吾のお父さんが倒れた
それも、末期のガンだということがわかった

すぐさま、省吾の勤める大学病院に運ばれたけど、もう術的処置はムリな状態だった。

そんな憔悴する省吾の弱みをつく人物が現れた
尚兄が、要注意人物だと嫌う、神谷教授という人物とその娘が
省吾の心を変えてしまった。



お客様の対応が長引き、残業になってしまったある日、
後片付けが終わり、自動ドアの電源を切ろうと
玄関に行った時だった

外に、人影が見えたので、お客さんかと思い外へ出た



「すみません…もう、閉店なのですが…なにかご用でしたでしょうか?」


スラリとした長い手足、質のいいものだと一目でわかるベージュのワンピース、
白くて細い指には、ストーンが散りばめられたネイル、
そして、手入れが行き届いている艶のあるブラウンの髪
セレブな若い女性。


「あの、失礼ですが、古宮さん…ですか…?」

私の顔をじっと見つめ尋ねた彼女。


「はい、そうですが…えっと…」


私は、以前担当したお客様かと思い、記憶をフル回転させた


「あ、ごめんなさい、突然…
私は、神谷香子(カミヤ コウコ)、村上省吾さんのことでお話したいことがあります
これから、お時間ありますか?」


省吾のこと…?

省吾の知り合いなのかな…?
気になる私は、すぐに返事をした

「そうですか…わかりました
少しだけお待ちいただけますか?」


お店の中に戻り、自動ドアの電源を切り、ブラインドを降ろし、お店の点検をして
そとへ出た


この時、彼女が私の運命を変えてしまう人物だなんて
これっぽっちも思わなかった










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