アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】

お店から近い喫茶店に行こうとしたけど、
すでに喫茶店は、閉店していたので、
駅の近くのカフェに向かった

私の後ろを歩く彼女は、特に言葉を発することはなく
ハイヒールの靴音だけを響かせる。

意味はないけど、少しだけ背筋が冷たかった


カフェの中に入り、先に飲み物を買い
二人掛けのテーブルに着く


「お疲れのところ、すみません」

向かいに座った彼女が、少し頭をさげた


「あ、いえ、大丈夫です。それで、省吾のコトというのは…?」


省吾のコトと言われたから、とても気になったので、すぐに聞いてみた



「突然にすみません…私、神谷香子といいます。父が省吾さんの勤める病院にいます。
そのご縁で、省吾さんと知り合いました

古宮さん、最近、省吾さんに会われましたか?」


「え、いいえ、最近はお互い忙しくて…」


「そうですか…では、単刀直入に言いますね…

省吾さんと私、来月婚約することになりました…」


「えっ?!」


婚約…?! え、ちょっと、待って…


「急に決まったものですから、省吾さんもきちんとあなたに話してなかったんですね…」


急に…って…

まっすぐに彼女の瞳を見つめるけど、目を逸らすでもなく、射るような瞳を私に返す


「一体、どうしてっ…」


「古宮さん、お忙しい身ですし、省吾さんをうまくサポート出来ていなかったのでは?」


テーブルのコーヒーを持ち、一口飲んで嫌味のように言う


「省吾は…省吾は、本当にあなたと一緒になる、って言ってるんですか?」


「えぇ、もちろんです 忙しすぎるあなたよりも、
いつ、どんな時でもサポートできる私を選んだんでしょうね

あ、ごめんなさい、私、もう行かなくちゃ」


細い手首に巻いた一目で高級品とわかる時計をチラリとみて、彼女は席を立った


「それじゃ、失礼します」


勝ち誇ったように少し微笑んだ彼女を私は見逃さなかった










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