アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】
彼女がカフェを出て行ってから、目の前のコーヒーカップを見つめたまま
私は身動き一つできずにいた。
婚約…って…
省吾があの時、私に言ったコトはウソだったの?
この指輪は?
膝の上に置いた左手の指輪を見つめる
クリスマスに言ってくれた約束
私の瞳を見つめ、嵌めてくれたリング
省吾が思っていた気持ち
あれは、全部全部ウソだったの…?
繰り返し、繰り返し
頭の中で、さっきの彼女の言葉が響いてる…
「なん…で…」
唇を結び
膝の上に置いた両手を
爪が食い込むくらい、握り締めた
その時、カバンの中の携帯が振動した
取り出してみると、ディスプレイには、尚兄の名前…
電源ボタンを長押しして切るつもりが繋がってしまった
「……」
『さーつきー、なになってんだぁー?
今日はお前の好きなハヤシライスだぞーぅ
オフクロ、心配してんぞぉー』
「ひ、ひさ…にぃ…」
『あ? どしたんだぁ?』
「う…えっ…うぅ…」
尚兄の声を聞いたら、ガマンしていたものがプツンと切れた