アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】
20分ほど経った頃
カフェの私の席の隣には、尚兄がちゃっかりお持ち帰り用コーヒーを買い
立っていた
どんだけ車、飛ばして来たのだろう…
家からここまでは倍の時間はかかるのに…
「彩月、帰るぞぉ」
特に何も聞かず、私の頭をポンと軽く叩き出入り口へと向かう
私も重い腰を上げ、尚兄の後をついていった
カフェの駐車場に停めてあった軽自動車に乗る
静かに走り出し、車内はFMが流れる
「彩月ぃ~ 明日は遅番かぁ? 今日、店忙しかったのか~?」
「ううん…」
「そか…」
敢えて、何も聞いて来ない尚兄が、なんだかちょっと不思議で…
昔から、私も尚兄も、何も隠すことなく、いろんなコトをお互い話してきたから
余計に変な感じ…
気を使ってくれてるのかな…別にいいのに…
「尚兄…なにも聞かないの?」
「あ? あー 言いたくねぇなら言わなくていーし、言いたくなったら言えばいーんじゃね?」
「う…ん…」
でも、やっぱり、モヤモヤとした渦を巻いてる気持ちのまま家に帰りたくない…
「あのね…」
「あ?」
「今日、お店に女のヒトが来たの」
ハンドルを握っていた片方の手は、流れるFMのボリュームを下げた
「うむ…」
「その人、省吾と婚約するんだって…」
「はぁっっ?!」
ずっと前を向いて運転してる尚兄は、助手席の私を見た
「ちょ、尚兄、ま、前っ!」
尚兄の頬を右手掴み、前を向かせる