アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】

アパートに着いて、
航にお礼を言おうとしたけど、玄関前から動こうとしない


「おい、開けろよ」


「へ?」


そりゃ、開けるけど、なんで?
私が航を見て、不思議な顔を向ける。


「早く!俺も入るから、開けろ!」


航も入るのっ?!


「なんで、なんでっ? 航、帰るんじゃないの?」


「お茶くらい飲ませろ!」


んもーっ!私をなんだと思ってンのよぅ
しぶしぶ、カギを開けてドアを開けると、航が先に
靴を脱いで、スタスタと中に入っていく。


「ちょ、ちょ、航…」

今朝、急いで出たから、ソファーの上にものが置きっぱなしなのを思い出した。
そんなコトはお構いなしに、コートとジャケットを脱いで、
すっかり、ソファーで寛いでいる航。


もう、自分の家じゃないんだからぁー
航の姿を見てため息をつき
バッグをテーブルに置いて、寝室へと向かう。

「私、着替えてくるから、待ってて。勝手にいろんなもの触らないでよね」


「あぁ、わかってる」


携帯を手に何やら確認しながら返事をした航。




寝室に行き、部屋着に着替えようと、ブラウスを脱ぐ。
部屋着をタンスから取ろうとして、
床に重ねて置いてあった雑誌の束に足を引っ掛けて転んでしまった。

この時ほど、ズボラな自分を悔いたことはない…


ドシン、っと転ぶ音と、タンスの上の物が落ちた音に、
気付いた航がリビングから、飛んできて、


「どうしたっ? 彩月っ」


そう叫んで、寝室のドアが開いた。


「きゃぁっ!」


ブラウスを脱いで、上半身がブラのままの姿を、航に見られてしまった。
急いで脱いだブラウスで隠して、後ろを向く…

しばらくの沈黙があり、それを破ったのは航だった。


「お前…なんだよ、それ…」


後ろから聞こえる、震えた声になんのことだろうと首を傾げて…


「え?!」


しまった!!!!
気付くのが遅すぎな自分にまたも悔やむ。


航の視線は、藤井くんに付けられたキスマークを凝視していた。


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