アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】

航は私の方に身体を向け、さりげなく私の片方の手を握る
それが、とっても自然だったので、
敢えて気にすることもなかった。


「それにな…俺、尚志から、お前のコト聞いてたんだよ。
あんな兄貴でも、お前のコトめっちゃ心配してたんだぞ」


尚兄…
私たち兄弟は幼い頃から航と凄く仲が良くて
3人でよく遊んだもんね。

特に航と尚兄は、男同士だからいろんなこと話してたんだよね。


そんな尚兄は
研修医を終えると
日本では、最先端の医学は学べないって言って、
決まっていた大学病院での勤務を辞めて、
単身アメリカに行ったきり、帰ってきてない


省吾と別れてから、なかなか抜け出せなくて
気分転換に尚兄に電話して、話聞いてもらったこともあったっけ…
尚兄も、ER勤務になって忙しくなっちゃって
電話しても出ないし、メールの返事さえも来なくなって
それっきり、電話もしてなかったから、居場所さえも、知らない状態だった…


「俺、向こうでたまに尚志と電話で話したりしてたんだ
こっちはNY、あっちはLAだからな、会ったのは二度くらいだったけど」


「そう…」

航と尚兄が向こうで連絡取り合ってたんだ
じゃあ、私の過去、航はわかってるんだね。


「俺、こっちに帰ると決まった時、尚志に電話したら言われたことある。
彩月が、まだ結婚してなくて、一人でいたら、彩月を頼むって…
尚志に頭下げて頼まれた…」


「航…」


今までと違って、超、優しい眼差しの航が、私を見つめる。


「で、でもっ、尚兄に頼まれたからって
航が、私を好きなワケないでしょ?
航だって、向こうとか、こっちに、彼女とかいるんじゃないの?」


藤井くんのこともあって、人を信じるのが不安になってたから、
つい思ったことを口にしてしまう。


「だれが、向こうやこっちに、オンナがいるんだよっ!!」


な、なんか、さっきとは全然違う瞳になって怒る。


「俺だってなぁ、結婚しようと考えたオンナくらいいたさ、
だけどな…」


航が私の腕を引き寄せたと思ったら、私は、航の腕の中に包まれた。


「お前くらい、気の合うヤツなんて、いなかった

お前って、ホント、鈍いよな…
俺が、いつからお前のこと好きだったかわかんねぇのかよっ!」


そう言って、
ギュッときつく私を抱きしめた…


「そ、そんなの、わ、わかんないよ
航には、苛められてばっかだったし、
口で言ってくれなきゃ、わかるワケ…ないじゃんか…」


やだ…
なんで、涙が出てくるの?…




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