パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「相変わらずだな」


泉が笑う。


「近いうちに撮影に入るんじゃないの?台本は?まだ?」


碧が心配そうに聞く。


「もらっては……ない。そこは確かだ」


「偉そうに言うなって。スペシャルドラマだよ。忘れる?」


いつの間にかタロットカードを床に広げていた心が呆れてため息をつく。


「アハハ。そうだよな。今度は覚えとく。って、オレを占うなよ!」


カードをめくる心に奈桜が釘をさす。
心は秘密にしているが霊感があり、タロットカードはよく当たるとスタッフや芸能関係の女性たちから信頼が厚い。


「………占わないよ。可愛いコ以外は」


立ち上がり、また一人で踊り始める奈桜の後ろ姿を心はじっと見つめる。


「全力であなたを奪いに来る人あり。あなたは……」


軽やかな手足の動き。
素早いステップについ見入ってしまう。
奈桜の踊りは『上手い』を通り越して『美しい』


「ジョナサンを食うなよ」
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