トライアングル
「坂口さん、予定大丈夫?」
考え事をしていた私を現実に引き戻したのは彼の一言だった。
「……はい、大丈夫です」
せっかくまた誘って貰えたのだから、二人きりじゃあなくともこのチャンスをどうにかしなくては!!
私が返事をすると彼はいつも凛としている表情を少し崩して「じゃあ場所とか時間決まったらまた連絡する」と言い、足早に私の目の前から立ち去った。
廊下ですれ違い様の短い会話。
それだけでも凄く嬉しい。
ましてや二人きりじゃあなくとも、また誘ってくれて。
さっきまでは悲しかったけど、気持ちをどうにか切り替えて考える。
そう、今回のチャンスをちゃんと物にしよう!
ちゃんと自分の気持ちを彼に伝えよう。
たぶん他の人もいるから、二人きりにはなれないかもしれないけど。
でも……。
私はドキドキを胸に、彼の背中を見送った。