もう一度抱いて
しばらくすると、シャワーを浴び終えたキョウセイもキッチンに合流した。


「遅くなりました。本当にすみません」


おばさんの近くへ行くキョウセイ。


「いいのよ。きちんと電話してくれたんだから」


おばさんの言葉に、キョウセイもホッとしたような表情をした。


キョウセイも混ざると、私達は慌ただしく夕飯の準備をした。


今日は宿泊客が多くて、いつも以上に忙しい。


みんなで一生懸命盛り付けなどをしている時、キッチンにおじさんが入って来た。


「磯村君」


おじさんに呼ばれて、「はい」と返事するキョウセイ。


おじさんはキョウセイの横へ立ち、コソコソと何かを話し始めた。


何の話をしているのだろう?


私達四人は、なんとなく聞き耳を立てていた。


「えぇっ?そ、それはちょっと困ります…」


慌てた様子のキョウセイ。


どうしたんだろうと、みんながキョウセイの方を見ている。


「東京から来た彼女、磯村君の恋人なんだろう?
3日滞在するみたいだから、その間は仕事しなくていいよ。
彼女、ツインの部屋を取ってるし、一緒に過ごしたらいいよ」


おじさんの言葉に、ドクンと心臓が音を立てた。


一緒に…過ごす…?


「だから今日はもう仕事しなくていいよ。彼女と一緒に夕飯食べてあげて」


「でも…」


戸惑うキョウセイに対し、おじさんはキョウセイのエプロンを外してしまう。


おじさんに強引に押し出されるような格好になって、キョウセイはリビングに行ってしまった。
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