もう一度抱いて
「ごめんね…。
自分の彼女だし、本当はライブにも呼びたいんでしょう?
私のせいで、色々気を遣わせてごめんね…」


私はゆっくり歩いて、キョウセイの座っているベンチの横に少し離れて腰掛けた。


「いいんだ。気にするな」


「でも…」


地面に視線を落としていたら、頭上でキョウセイのため息が聞こえた。


「本当は嫌なのに無理に付き合うなんて、しんどいだろう?
永瀬の心の負担が軽くなるなら、俺はきっちりケリをつけて良かったって思うよ」


「キョウセイ…」


キョウセイは優しい。


普通だったら彼女を優先するはずなのに…。


「お前…さ」


「ん?」


「バンドを辞めるとか、考えるなよ?」


「え…?」


「俺や京香に気を遣って、辞めるとか言うなよ?」


「で、でも…」


いいのかな。


彼女なのに…。


「別にアイツがライブに来なくてもいいんだ。

アイツのために音楽やってるわけじゃないんだし」


キョウセイの言葉に、つい口をつぐんでしまう。


「辞めるなんて、許さない…」


「え…?」


どういう…意味…?
< 187 / 479 >

この作品をシェア

pagetop