もう一度抱いて
その人の手は依然として私の背中に置かれたまま、至近距離で見つめ合っている状態だ。


でも、酔っているせいだろうか。


そんなに恥ずかしいとは思わない。


少し湿気を含んだ風が、その男の人の髪をゆらゆらと揺らす。


細く長い首、気だるそうな表情。


だけど、なぜか妙にセクシーで。


あぁ……。


この唇がさっき私と重なっていたのか。


すごかったな。


さっきのキス。


もう一度したい……なんて。


そんなことを思う私は、おかしいのだろうか。


そんな私の気持ちに彼が気づいたのかどうかはわからないけれど。


どちらからともなく。


再び唇を重ねた。
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