予言と過去



どうやったのかなんて、全然 覚えていない。



でも、心の奥底に湧き上がる この黒い感情を、少しずつ少しずつ躰から出して行ったら、いつの間にか、呪文も、契約も、完成していた。



ねぇ、ほら、僕は独りでも、何でも出来る。



お姉ちゃんにも、リホちゃんにも、誰にも頼らなくても。



僕は、独りでも……。



目の前に召喚された悪魔は、20代後半の、綺麗な顔を した男性だった。



彼は僕を見て、一瞬 虚を突かれたような顔を した後、意味在り気に笑った。



「ふぅん、こんな餓鬼が俺を召喚したのか。良いぜ。お前の願い、叶えてやるよ。」



僕の、願い……?



僕は、僕は……。



「……壊したい。」



そしたら、誰にも否定されないから。



「……殺したい。」



そしたら、大切な人達と、ずっと笑っていられるから。



「……僕は、世界を……。」



僕の世界を護りたい。
僕の世界を壊したい。

< 71 / 89 >

この作品をシェア

pagetop