予言と過去
どうやったのかなんて、全然 覚えていない。
でも、心の奥底に湧き上がる この黒い感情を、少しずつ少しずつ躰から出して行ったら、いつの間にか、呪文も、契約も、完成していた。
ねぇ、ほら、僕は独りでも、何でも出来る。
お姉ちゃんにも、リホちゃんにも、誰にも頼らなくても。
僕は、独りでも……。
目の前に召喚された悪魔は、20代後半の、綺麗な顔を した男性だった。
彼は僕を見て、一瞬 虚を突かれたような顔を した後、意味在り気に笑った。
「ふぅん、こんな餓鬼が俺を召喚したのか。良いぜ。お前の願い、叶えてやるよ。」
僕の、願い……?
僕は、僕は……。
「……壊したい。」
そしたら、誰にも否定されないから。
「……殺したい。」
そしたら、大切な人達と、ずっと笑っていられるから。
「……僕は、世界を……。」
僕の世界を護りたい。
僕の世界を壊したい。