予言と過去
目を開けると、其処は灰色の空間だった。
ヴィルと名乗った あの悪魔の手を取って、連れて来られた場所は、地界だった。
其処に僕達 龍族は皆 集められて、閉じ込められた。
そして、数時間に1人ずつ、悪魔に連れられて牢屋から出て行く。
気が付けば、残っているのは僕だけに なっていた。
暫くすると1人の女性が来て、僕の腕を掴んで強引に立たせた。
ウィロアと名乗った彼女は、僕を引っ張り、入り組んだ廊下を すたすたと歩いて行く。
「……ちょ……待って……くだ、さい……何処へ……。」
「行けば解るわ。」
からからに渇いた喉から必死に出した質問に、彼女は簡潔に答えると、扉の付いていない大きな部屋に僕を引き摺り入れた。
目の前に広がる光景を見て、息を飲む。
其処に居たのは、10人程の悪魔と、沢山の龍族の死体だった。皆、血を吐いて、白目を剥いて、床に横たわっている。
「……うぇ……っ。」
思わず口を押えて吐くと、ウィロアは僕の腕から手を離し、僕が召喚したヴィルと言う悪魔の隣に立った。支えを失った僕は、よろよろと後退った。
「ヴィル様、仰せの通り、この少年を最後に連れて来ました。」
「ああ。」
自分に対し恭しく頭を下げたウィロアに1つ頷くと、ヴィルは僕に向き直った。