予言と過去
もう、何もかもが どうでも良くなっていた。
死んでも良いとさえ、思っていた。
それでも俺は何故だか死ねずに、独房に入って来たウィロアに腕を掴まれた瞬間、魔法が発動した。
俺の周りに雷が大量に落ちて、驚いたウィロアは腕を離した。
その瞬間、理解した。
また、自分の意思と関係無く魔法を発動している、と。
辺りに爆音が響き、騒ぎに気付いたヴィルと数人の悪魔が、独房に駆け込んで来た。
「ライネスっ!?」
驚愕に目を見開き、ヴィルは俺に向かって手を伸ばした。
その脇を擦り抜け、俺は走った。
何の為に?
誰の為に?
朦朧とした頭に浮かぶ疑問。
答え等 見付からず、俺は傷付き痩せ細った足で、精一杯 走った。
俺の背後からは、協力な稲妻の音と、巻き込まれた悪魔の悲鳴が聞こえた。