予言と過去
声が、聴こえた気がした。
何て言ってるのか解らないけど、焦ったような声で何かを叫んでいる。
次いで、肩を強く揺さぶられた。
何だよ、頭が がんがんする。揺すらないでくれ。
そもそも俺は何を していたんだっけ……?
重い目蓋を無理矢理 抉じ開けてみると、見えたのは3人の屈強な男達だった。
「おい、お前さん、龍族だよな?」
「吃驚した。まさか こんな所で倒れているなんて。」
その言葉で、俺は気を失う前の事を全て思い出した。
そして、男の手が自分の肩に置かれている事に気付いた途端、躰が無意識に びくんと跳ねた。
驚いた男が手を離したのにも気付かずに、俺は自分の肩を抱き締め、震えを抑えようと した。
脳裏にフラッシュバックする。ヴィル達の残忍な笑みが。俺を実験台だと言い、伸ばされた手が。
俺の姿から、男達は何かを察したようだった。
「悪かったな、驚かせて。空界に帰ろう。」
その言葉に、頷いていた。
立ち上がろうとした途端 目眩が して、俺は よろめいたが、男の1人は支えようと手を伸ばしてくれて、それは そのまま戻された。
俺は それを、とても有り難いと思った。