禁域―秘密の愛―【完】
「私、かれんちゃんの気持ち………すごく分かる。このやり方は賛成できないけど。
だけど………、誰かをどうしようもなく好きになることは誰に何と言われようと強いものだから………分かるよ」
「………瞳ちゃん」
かれんちゃんは、私の顔を見てまた泣き出してしまった。
「私………、本当に瞳ちゃんに対して悪い事したのに………。そんなこと言ってもらえるなんて思わなかった。
ごめんなさい。本当に、ごめんなさい………」
「いいよ………もう」
かれんちゃんだって………、苦しかったんだよね。
私は、かれんちゃんをそっと抱きしめた。彼女も私を抱きしめ返す。
そこでやっと………、かれんちゃんと私は本当の友達になれたような気がした。
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かれんちゃんと藤咲君が帰った後、桐谷君と二人きりになった。
桐谷君は、スマホに収めていた写真を消去した。
きっと、かれんちゃんの気持ちを分かってくれたんだ。
「綾瀬、とりあえずここは閉まる。出よう」
「う、うんっ」
私達は進路相談室を出た。そして、しばらく無言で少し前を歩いていた桐谷君が急に振り向いて
「…………綾瀬、少しだけ休息所に寄っていかないか?」
ーーーどこか真剣な目をして、私にそう言った。