禁域―秘密の愛―【完】


「本当にありがとう、巧」

私も何かお礼しなきゃ。
巧にもらってばっかじゃ悪いよね。

あ………そうだ!

「巧!私その日、お弁当作ってくるね!」

私は料理もすごく好きだ。
なので家でも、両親が仕事で遅くなると夕食作りを担当するほどだった。

私が巧に対して何かあげれるとしたら………本当に、それくらいしかない。

「ーーーマジで?」

巧は私の言葉に驚いた顔を見せると

「瞳の弁当か………。すごく楽しみだ」

そう言って、本当に嬉しそうに笑ってくれた。

「そんなに喜んでくれるなんて、思わなかった」

「何で?」

「だって………、巧は普段から家で良いものを沢山食べてそうだなあって思って」

巧の実家のことだから、食卓に高級料理がずらりと並んでそうだしなあ………。

そう思って、特に何も考えず軽い気持ちで巧にそう言った。

すると、巧は思った以上に深妙な顔をして………

「………あの家の食事なんて、そんな大層なものじゃない。
………雇われの料理人が、父に命令されるままに作ったものが主だ。
そこに温かみなんてものは存在しないからな」

そうどこか悲しげに言ったーーー。






< 116 / 714 >

この作品をシェア

pagetop