禁域―秘密の愛―【完】
しまった………!
「す、すみません!大丈夫ですか!」
私は急いでその人に駆け寄った。大学生くらいの男性だった。
私、年上の人になんてことを!
「あ、ああ。 平気だよ。君こそ大丈夫?」
その男性は顔をあげた。黒髪で、目は細いけれど、全体的に整った顔立ちをしていた。更に背も高く温和な雰囲気だ。
「すみません………。本当に私、」
「気にしなくていいよ。女の子に悲しそうな顔をさせるなんて、そっちの方がこたえるから」
男性はそう言って、私に微笑んだ。
その微笑みは………、どことなく誰かに似ていた。
「ーーー啓志(けいし)、どうしたの?」
その時、私の背後から女の人の声がした。ショートカットの可愛らしい女性だった。
ーーーケイシ?
その名前にもなぜか違和感を感じる。
私、この男性とどこかで会ったことがあるのかな?