禁域―秘密の愛―【完】
「大丈夫。ちょっと、この子とぶつかっただけ」
「ええっ?そうなの?あなたも平気?」
「はっ、はい!大丈夫です………!本当にごめんなさい」
「ハハッ、良い子だね。そんなに気をつかわなくて大丈夫だから、本当」
「ありがとうございます………」
私は、胸の中の違和感に戸惑いを感じながらも、目の前の男の人が紳士的で安心していた。
男の人は私が頭を下げると、下げ返し女性の手を取り去って行った。
とりあえず、穏便に事が済んでよかった………。
でも………さっきの違和感は何だったんだろう?
私は、そう思いながら巧の元に戻った。
「遅かったな?具合でも悪いのか?」
「ううん、違うの。ちょっと人にぶつかっちゃって………」
「怪我は?平気か?」
「うん!全然大丈夫。ごめんね、待たせて」
「いや………、瞳に怪我が無くて良かったよ」
巧は、安心したようにそう言うと『腹へったな』と言い私のランチボックスをちらりと見る。
そうだ………、お弁当!
なんだかいきなり緊張してきたよ………!
「た、巧?本当に私のお弁当でいいの?」
私は思わず不安になりそう尋ねた。