禁域―秘密の愛―【完】
巧は、お弁当のおかずを一口食べた。
「うん、美味いな!瞳も食べろよ?
本当にこんなに美味い弁当久々だ………って、瞳が作ってるんだよな?何言ってんだ、俺は」
そう言って、巧は照れたように笑う。
本当に、美味しかったんだっていう気持ちが伝わってきて嬉しくなる。
「そんなに喜んでくれて嬉しい。
………実は、ちょっと不安だったの。巧の口に合わなかったらどうしようって」
「いや、そんな事は無い。
すごく、なんて言うか………優しい、家庭的な味がする。俺が求めていた料理だ。
桐谷の家で出されるような高級素材を使ったコース料理じゃなくて。
ばあちゃん家にいた時のようなーーー」
そこまで言うと、巧はハッとしたように言葉を止めた。
まるで、その先の言葉を紡ぐのを躊躇っているかのように見えた。
「巧………」
そうだ………。巧は、まだ知らない。
私が巧の過去を少し知っていることを。
私は巧がそれを言うのを待っているけどまだ難しいのかな………。