禁域―秘密の愛―【完】
そう思っていると、巧が私を見据えた。
まるで、何かを決意したような強い目だった。
私はその時、確信した。
巧はきっと今から、自分の過去や桐谷家のことを話してくれるとーーー。
「………瞳。俺ーーー」
巧が、そう言いかけた時だった。
「………巧?」
「………?」
突然、ベンチに座っている私達に声をかけたのはーーー
「………あっ!?」
私がさっきぶつかった男性だった。
「啓史兄さん………?どうして………」
巧がそう男性に呟いたことで思い出した。
その名前は、巧と付き合う前のデートの時。電話で巧が言っていたものだ。
誰かに似ていると思ったのは巧だったんだ………。
「巧こそ………、光おじさんに何も言わずに遊びにでたのか?」
「………あの人に俺の休日まで縛る権利なんてない」
巧はそう冷たく男性に言い放った。
なんか巧………いつもと違う。
どうしたの………?
「巧………?」
私は急にどこか不安になり、彼の手を握った。