禁域―秘密の愛―【完】
「本当に可愛くて素直な子だね。
巧、とても良い子を捕まえたじゃないか。
サキを実家の方に送った後、ここにもう一度来て良かったよ」
「………いいから、早く帰ってくれ」
「巧………」
桐谷家の人とはいえ、こんなに優しそうで穏やかな人なのに………。
それでも、敵意を隠さない巧が私にはとても不思議だった。
「………はいはい、分かりましたよ。邪魔して悪かったね。また会おうね、瞳ちゃん」
「あ、はいっ」
私がそう言うと、啓史さんはニッコリと微笑んで、去って行った。
「………ごめん」
「え?」
「とんだ邪魔が入った」
「………巧、どうしたの?
何が………あるの?巧には何が………?」
桐谷の事業を継ぐにしろ、出生のことにしろ。
私は、巧に関して知らない事が多過ぎる。
私は、啓史さんが現れてから凄くそれを実感した。
今までは……….。ううん、さっきまでは、巧が言ってくれるのを待っていたけど。
今は、気になって仕方が無かった。
こんなに近くにいても、巧のことを全然知らないなんて………そんなの悲しすぎるから。