禁域―秘密の愛―【完】
「今まで、あまり俺の過去や家のことは話さなかったな………。
実はさっき、話そうとしたけど………、まさか、啓史兄さんが現れるとは思わなかった」
巧は、はぁとため息をつき私を見据える。
「…………話さなかったのは瞳を信用していないから、とかじゃない。
俺自身が………、俺の過去や、その家の事情ってやつに嫌気がさして思いだすのも嫌だったからだ。………勝手だよな」
巧は、自分をあざ笑うかのように微笑んだ。
その横顔があまりにも悲しくて………、私はどうしたらいいかわからないまま、巧の話を聞くしか無かった。
「………でも、色々と決まってきた今。
感情的な理由だけで物事を通したらいけない。
だから………、瞳。俺の決心も含めた上で聞いて欲しい」
そう言うと、巧は私の肩を抱き寄せた。
「………へっ?た、巧?」
「………こうした方が落ち着いて話せるんだ。だから、こうさせてくれ」
「巧………」
いつもは、こんな風に私に何かをお願いするなんて滅多にしないのに。
それほど、今から巧が言うことは………、勇気がいることなんだ。