禁域―秘密の愛―【完】


どうすればいい。どうすれば………。

そう思い悩んでいた巧に近付いたのは、光さんだった。

彼は巧に知り合いの病院を紹介すると言った。

設備も整っており、日本でも指折りの名医が揃っていると。そのための経費も全て、自分が負担しようと。




ーーーその代わり………、巧が桐谷家に籍を置くことが条件だと。




巧は、桐谷家に籍を置くことを決意した。

それで大切な母親の命が救えるなら………と。

そのおかげか瑞歩さんは、余命半年と言われていたにも関わらず、巧が中学校2年に進級するまで奇跡的に生きる事ができた。

巧はその後も変わらず、桐谷 巧として毎日を過ごした。

けれどそれは、ただ単に母親の治療費の代償のため。他に理由などなかった。


ーーー社会人になり、経済力が豊かになったら桐谷の家などすぐに出る。


それが巧の目標だった。桐谷家が行う事業の跡継ぎは、その当時、啓史さんが継ぐことになっていた。

けれどそれも………、巧が高校2年の頃。

つまり巧がかなりの期間、学校を休んでいる間に変わった。

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