禁域―秘密の愛―【完】
ーーー桐谷商事やその関連事業は、巧。お前が正式に継ぐんだ。 啓史は、お前の補佐にする。
巧は突然光さんにそう言われたのだ。
当然、巧は話が違うと反論した。
ただ、桐谷家に籍を置きさえすればいいと言ったじゃないかと。
しかし、光さんは巧にどうしても自分の事業を引き継いで欲しくなった。
というのも巧を育てるにつれ、彼がかなりの頭脳の持ち主であること、そして器用に何でもこなす様を見ていた為だった。
その事でずっと、巧は光さんと争っていたという。
ーーーそして、光さんはついに言った。
巧にとって………決定的な言葉を。
『実は桐谷商事は、ここ数年の不況の煽りを受け、経営が上手くいっていない。
このままでは会社の存続も危ない。
本当の話だ。………このままでは多くの従業員が路頭に迷うだろう。
私は、巧ならそんな危機も回避してくれると見込んでいる。見込みのない奴にこんなに危ない橋を渡すつもりはない。
例え、実の息子でもな………。それを知りながらもお前は桐谷商事を避けるのか?巧………』