禁域―秘密の愛―【完】
「だって………、いつも誰かの為に闘ってきた巧がたった一人で苦しんできたって思ったら………」
………世の中は本当に理不尽なもので出来ている。
そう思ったのは、この時が初めてだった。
「………でも、瞳。俺は父に言ったんだ。何もかも桐谷家に振り回されっぱなしの俺がただ一つ………、どうしても譲れないモノがあるって」
巧はその瞬間、私を抱きしめる力を強くした。
「ーーー瞳。 お前だ」
「え………?」
「瞳だけは………、お前だけは、桐谷家に何があろうとも離さないと言った。
そして………、それを条件に俺は桐谷家の事業を継ぐ話を承諾した」
「わ、たし………?」
私が………巧の譲れないモノ?
あまりにも、意外な答えに私は驚いて顔をあげた。
巧は………真剣な瞳で私を見つめていた。
「本気………なの?」
私なんかが………巧の譲れないモノだなんて。
彼の心の核に、私がいるなんて………。