禁域―秘密の愛―【完】
だけど………
「じゃあ聞くが、君に何ができる?桐谷商事のために」
「…………っ」
そう言われて………私は何も言えなくなった。言えなかった。
桐谷商事のために私が今できることなんて……………。
「確かに君は申し分ない生徒だ。賢くて将来性もある。本来ならば、……ビジネスが絡まなければ巧と付き合っていても別に反対はしない。
巧は、君と別れない事を条件に桐谷の事業を受け継ぐ事を受け容れたくらいだからな。むしろ、君がいないとその時は都合が悪かったんだ。将来君らが別れようと別れまいとだ。
だが………、巧から聞いているだろう?桐谷商事の財政危機のことは。もうそういう訳にはいかないんだよ。
…………君と巧が別れるくらいで、ビジネスが円滑に進むんだ。安いものだよ」
「安いって…………」
「そうだろう?考えてもみなさい。たかが高校生の恋愛ごっこだ。今は若いからそれなりに火がついてるかもしれないがな。時が経つに連れそんな感情は消えるものだよ。大人になるに連れてな…………。そんな感情に、我が社を潰させる訳にはいかない」