禁域―秘密の愛―【完】
…………けれど。
一階の玄関にいた訪問者は、私の思ってもいない人物だった。
「………そうなのよ。あの子、すっかり寝込んでしまって………」
「………そうだったんですか」
お母さんと……もう一人、聞き覚えのある声が段々とこちらに向かってくる。
ーーーーまさか、そんなはずはない。
けれど、私がこの声を聞き間違えるはずがない……………。
「………っ」
心臓の鼓動が早くなるのが分かった。
すると、二人の声は私の部屋の前で止まり………そして、ドアが開かれた。
「ーーーー瞳、お客さんよ」
「………っ」
「ーーーー桐谷 巧君」
巧ーーーー………………。
今、一番会いたくなくて…………でも一番愛しくて仕方がない人…………。
「………瞳」
巧が私を呼ぶ声がする。
………どうしよう?布団から顔をあげるべきだろうか?
「うーーーん………。瞳ったらずっとこんな調子なのよ………」
「分かりました………。お母さん、ワガママを言ってすみませんが…………瞳と二人きりにさせてくれませんか」
私は………その巧の言葉に驚いた。
まさか、こんな密室で巧と二人きりなんて…………、どんな顔をして巧と向かい合えばいいか分からない。