禁域―秘密の愛―【完】
園屋物産は確か………世襲会社だったはず。
まさか、苗字が同じってことは親族の人……?
「何?綾瀬さん、大声だして?」
華美さんが私を責めるようにそう言う。
ああ、またやってしまった………。
それにしても、周りの女性達の様子は何だか変だ。
園屋物産といえば、立派な大人であれば知らない人はまずいない大企業。
そこの親族かもしれないと分かれば、こんな場だし黄色い声でもあがりそうなものなんだけど、女性達は皆黙りしていた。
何なんだろう…………。
「………あ、いえ。何でもありません。ごめんなさい」
私がそう言うと華美さんは、"まぁいいわ"と半ば呆れたように私に言い放つように言った。
そして、彼女は自己紹介を始めた。
「藤原 華美(ふじわら はなみ)です。28歳、芝田総合病院で皮膚科を担当しています。どうぞよろしく」
ーーーー藤原 華美さんか。
………凄く美人なのは認めるけれど、どうも苦手だ。
多分、初対面でかなり冷たくされたのが、それに繋がっていると思った。
園屋さんといい、藤原さんといい。
…………何だか苦手な人ばかりだ。
私は、ため息をつくしかなかった。