禁域―秘密の愛―【完】
私は………園屋さんのどこか、強い瞳に怯んでしまいその場から動けなくなった。
「今は、君と話したいから。そこ動かないで?」
「え、っと………」
そんな事を言われてしまってはどうする事も出来ない。
私は、観念してその場に留まった。
「やーーーーっと、俺の事見てくれたね?嬉しいよ。俺、綾瀬さんに避けられてるかと思ってたからさ」
…………あながち、それは当たってるんだけど。
でも、何だか本当に嬉しそうに顔を綻ばせる園屋さん。
そんなに…………嬉しいことなのかな?
「まぁ、改めて話しようよ。同業者でもあるしさ。ね?綾瀬さん」
「は、はぁ………」
ーーーー企業秘密は絶対に守ろう。
それだけを心に誓い、私は彼と話し始めたのだった。
ーーーーーーー
しばらくして、合コンはお開きになり後は自由に気が合った人達同士でということになった。
結局あれから、ずっと園屋さんと喋ってたなぁ…………。だから、気が合う人なんて見付けられなかった。
しかも、思った通り彼は園屋物産の会長の孫で、次期社長らしい。
まさかとは思ってたけど出会って間もない私にそれを言うとは思わなかった。